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アルツハイマー病、原因物質の蓄積促す「種」発見-認知症患者さんに寄り添う歯科衛生士の役割は?

アルツハイマー病、原因物質の蓄積促す「種」発見-認知症患者さんに寄り添う歯科衛生士の役割は?

2026年07月23日 11:00

2026年7月、アルツハイマー病の研究に大きな一歩となるニュースが発表されました。

国立精神・神経医療研究センターなどの研究チームは、脳内で異常なたんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」が蓄積するきっかけとなる"種"のような物質を発見し、「ピーク1Aβ」と命名しました。


現在使用されているアルツハイマー病治療薬は、「すでに溜まったゴミ(アミロイドベータ)を取り除く」ものだったのに対し、今回の発見は「ゴミの蓄積そのものを防ぐ」新たな治療や早期発見につながると期待されています。

認知症治療は着実に進歩しています。しかし、現時点では症状の進行を完全に止める治療法はまだありません。

だからこそ、私たち歯科衛生士による日々の口腔ケアや口腔機能の維持が、これまで以上に重要になります。


出典:毎日新聞「アルツハイマー病、原因物質の蓄積促す『種』発見 新治療に期待」(2026年7月20日配信)

https://mainichi.jp/articles/20260719/k00/00m/100/060000c


●アルツハイマー病の方の「食事や口腔ケア」の場面で起こること

アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも最も多いタイプで、記憶をつかさどる脳の「海馬」から障害が始まり、徐々に脳全体へ広がっていく病気です。初期には「もの忘れ」が目立ちますが、単なる加齢によるもの忘れとは異なり、「体験そのものを忘れてしまう」のが特徴です。


例えば、

・食事をしたこと自体を忘れてしまう

・約束をしたことを覚えていない

・同じ質問を何度も繰り返す

といった症状がみられます。


病気が進行すると、記憶障害だけでなく、判断力や理解力の低下、時間や場所が分からなくなる見当識障害、物事を順序立てて行うことが難しくなる実行機能障害なども現れます。


歯科の場面では、

・食品パックの開け方などが分からなくなる。

・食具の使い方が分からなくなる。

・目の前の食事を食べてよいか分からず手を付けない。

・口の中に入れたものが何なのか分からず出してしまう。

・意欲が低下して食欲も低下する。

・食べ過ぎる

といった症状につながることがあります。


そのため、歯科衛生士は「できなくなったこと」だけに目を向けるのではなく、「今できること」を活かしながら、その方の認知機能や生活環境に合わせた口腔ケアを行うことが大切です。また、認知症は進行性の疾患であるため、その日の体調や時間帯によっても症状が変化することがあります。患者さんの表情や反応を観察しながら、安心してケアを受けられる環境を整えることも、歯科衛生士に求められる重要な役割です。


●アルツハイマー型認知症の方への食事・口腔ケアのポイント

食事の工夫】

・食器やスプーンを手に持っていただいたり、最初の数口だけ介助したりして、食事を始めるきっかけをつくる

・食器は本人から見えやすく、手を伸ばしやすい位置に配置する

・食器や食具の数は必要最小限にし、選択肢を減らして混乱を防ぐ

・食材の色や形、香りなどが分かりやすい献立を工夫し、食欲を引き出す

・テレビや大きな音など、注意をそらす刺激をできるだけ少なくし、食事に集中できる環境を整える


【口腔ケアの工夫】

・毎日できるだけ同じ時間・同じ場所で行い、生活の習慣として定着させる

・鏡を見ながら一緒に歯みがきをしたり、歯科衛生士や介護者が実際に動作を見せたりして、真似(模倣)しやすい環境をつくる


【ケアを行う際の注意点】

・「1指示1動作」を徹底する:一度に多くの指示を出さず、「スプーンを持ちましょう」「口を開けてください」など、

 ひとつずつ区切って分かりやすい短い言葉で伝える

・できる部分は見守る:ご本人ができる部分は見守り、難しい部分のみを介助することで、自立した動作を維持する

・拒否されたら無理をしない:口腔ケアや食事を拒否された場合は一度中断し、時間をおいたり、担当者を変えたりする

 など、安心して受け入れられるタイミングを探す

・笑顔と肯定的な声かけ: 不安や混乱を招かないよう、笑顔と落ち着いた口調でゆっくり接する。

 できたことを積極的に褒めることで安心感や意欲につながる


●まとめ

アルツハイマー病の研究は日々進歩しており、今回のように発症の仕組みの解明につながる新たな発見も報告されています。今後、発症予防や新たな治療法の開発が大きく期待されています。しかし、現時点では認知症の進行を完全に防ぐことは難しいため、歯科衛生士による日々の適切なケアが非常に重要な鍵を握っています。

認知症の方への口腔ケアでは、口の中だけを見るのではなく、その方の認知機能や生活環境、コミュニケーションの取り方まで含めて考えることが求められます。適切な口腔ケアは、口腔内の健康維持だけでなく、誤嚥性肺炎の予防や栄養状態の維持、そして生活の質(QOL)の向上にもつながります。

歯科衛生士だからこそできる専門的な視点と支援を大切にしながら、一人ひとりに寄り添ったケアを実践していきましょう。


●誤嚥予防につながる実践的な技術を身につけたい方へ

認知症が進行すると、口腔機能や嚥下機能の低下により、誤嚥や誤嚥性肺炎のリスクが高まります。そのため、歯科衛生士には、口腔内を清潔に保つだけでなく、安全な食支援や誤嚥予防につながる知識・技術が求められます。


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