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【口腔乾燥症の評価と対応】歯科衛生士が押さえるべき重症度分類とケアのポイント

【口腔乾燥症の評価と対応】歯科衛生士が押さえるべき重症度分類とケアのポイント

2026年02月13日 14:17

口腔乾燥症は、高齢者や有病者のQOLを著しく低下させるだけでなく、全身的なリスクを高める重要な病態です。歯科衛生士の専門的な介入が、その予防と管理に不可欠です。

1. 口腔乾燥症とは

口腔乾燥症とは、「自覚・他覚を問わず口腔の乾燥(あるいは乾燥感)があり、それを苦痛に感じている、あるいは日常生活に何らかの支障があるもの」とされます。


【主観的症状の尊重】

患者さまが「口が乾燥してつらい」と訴える場合、客観的な唾液分泌量の結果によらず、症状緩和に努めるスタンスが大切です。


【続発症の早期発見】

「乾燥は困っていない」という患者さまでも、歯科衛生士の観察により粘膜乾燥や汚れが確認される場合があります。味覚異常、舌痛症、義歯不適合などの続発症状が隠れていないか、意識してヒアリングすることが重要です。

2. 主な原因と医学的リスク

口腔乾燥の主な原因は、唾液分泌量の低下と水分の過剰な蒸発です。

特に注意すべきは次の要因です。


薬剤の有害反応】

全身疾患の治療薬(抗不安薬、抗ヒスタミン薬など)の服用は、唾液分泌を制御する神経伝達を妨げ、口腔乾燥を引き起こす最大の原因の一つです。服用薬剤が多いほど、リスクは高まります。


加齢による変化】

女性では70歳代後半以降、刺激時唾液において明らかな分泌量減少がみられるなど、加齢も原因となります。


口腔乾燥を放置するリスク

唾液分泌低下は、単なる不快感に留まりません。続発症を放置すると、QOLの著しい低下、さらには全身感染症、低栄養など生命を脅かすリスクを招くため、早期かつ適切な対応が不可欠です。


【感染症】

口腔粘膜炎(刺激・細菌増加で悪化)

口腔カンジダ症(真菌が増えやすい)

う蝕・歯周病(細菌増殖・再石灰化低下)

口臭の悪化 など


【機能障害】

義歯不適合(安定しない/痛む)

摂食嚥下障害(食塊形成不良 → 誤嚥性肺炎)

味覚障害(味物質が味蕾に届きにくい)

会話困難(滑らかな発音が難しくなる)

睡眠障害(乾燥で目が覚める) など

3. 口腔乾燥のグレーディング

口腔乾燥症の評価については多くのツールがあります。使いやすいものを選択し使用しますが、均質な対応を担保するために注意しなくてはいけないのは、「施設内で統一した評価法を用いること」「評価者間のバラつきを無くすために評価のすり合わせをすること」です。


■ CTCAE v5.0-JCOG(医療者の客観評価)

■ PRO-CTCAE™(患者の主観的評価)

■ 柿木の分類(寝たきり高齢者向け)

■ OAG(Oral Assessment Guide)唾液項目

■ 唾液分泌量検査(安静時唾液:吐唾法)


4. 口腔乾燥の評価と対応の基本

【口腔乾燥症の分類】

口腔乾燥症は、唾液の状態から軽度(G1)・中等度(G2)・高度(G3)の3段階に分類されます。

※必ず段階的に進行するとは限らず、主観的な乾燥症状を見逃さないことが重要です。


【口腔乾燥への対応の基本】

原因が可逆的か不可逆的かで対応を考えます。

・可逆的:原因療法+対症療法

・不可逆的:対症療法+続発症対策

まとめ

口腔乾燥は、単に「口が渇く」という不快な症状にとどまりません。感染症やむし歯、義歯のトラブル、さらには摂食嚥下障害など、さまざまな健康リスクへとつながります。

痂皮や汚物の付着、舌の異常、カンジダ症は、「乾燥に十分対応できていない」ことを示す、現場からの重要なサインです。


歯科衛生士の役割は、

・口腔乾燥の重症度を見極めること

・原因に応じた適切なケアを選択すること

・清掃・うがい・保湿を、無理なく継続できる形で支援すること

です。

特に口腔乾燥下では、義歯の安定性や粘膜トラブルにも、より細やかな配慮が求められます。口腔乾燥は、症状が目立たない初期ほど見過ごされがちです。

その一方で、こうした小さな変化にいち早く気づけるのは、日々患者さまに寄り添っている歯科衛生士にほかなりません。


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