
患者さんに寄り添う心理学的アプローチで、歯科治療の不安をやわらげる方法
2025年07月22日 21:54
こんにちは。Dキャリアプラス編集部です。
みなさんは、患者さんの緊張をうまくやわらげられていますか?
治療そのものだけでなく、“患者さんの心”にも向き合うことが求められる今、歯科衛生士にとって心理的なアプローチは大切なスキルのひとつになっています。
今回は、患者さんの不安をやわらげるための工夫や、すぐに取り入れられる心理学的テクニックをご紹介します。
患者さんの心の負担に気づいていますか?
歯科治療に不安や緊張を抱える患者さんは少なくありません。
「歯医者さんってなんとなく怖い…」という感覚は、多くの人が持っているものです。
そんなとき、患者さんと一番近くで接する私たち歯科衛生士の関わり方が、その方の治療体験を大きく左右します。だからこそ、心理学の知識や思いやりのある声かけが、とても大切になってくるのです。
歯科衛生士に求められる“心のケア”
近年、歯科衛生士の教育の中にも、心理学やコミュニケーションスキルが取り入れられるようになってきました。
それは、私たちが患者さんの不安を汲み取り、安心感を届ける役割を担っているからです。
ちょっとした雑談で緊張をほぐしたり、「大丈夫ですよ」とやさしく声をかけたりするだけでも、患者さんの気持ちはぐっと軽くなることがあります。
患者さんの不安にそっと寄り添うために
患者さんが感じる不安はさまざまです。
治療が痛そうで怖い
以前の嫌な経験を思い出してしまう
恥ずかしくて相談しにくい
とくに、初めて来院される方や小さなお子さんは、緊張や不安が強く出やすい傾向があります。
そんなときこそ、私たちの丁寧な対応や、温かいまなざしが必要です。
心理学のチカラを歯科現場に活かす
たとえば「認知行動療法」は、考え方を少しずつポジティブに変えていく心理学の方法です。
「歯医者さんって怖くないかも」と思ってもらえるよう、治療の流れを丁寧に説明したり、患者さんのペースに合わせて進めたりすることが、その一歩になります。
また、言葉の選び方や表情の使い方にも工夫をすることで、安心感を届けられます。
信頼関係を育てるコミュニケーション術
「アサーティブコミュニケーション」や「ミラーリング」「バックトラッキング」など、心理学をベースにした会話のテクニックは、患者さんの心を開く助けになります。
何気ない会話やしぐさにも、患者さんとの信頼関係を深める大きなヒントが隠れています。
患者さんの行動をやさしく後押しする“ナッジ”
最近注目されている「ナッジ理論」は、患者さんが自然とポジティブな行動をとれるように、そっと背中を押すような工夫です。たとえば待合室に置く案内ポップのデザインや、声かけのタイミングを工夫するだけで、「治療をがんばってみよう」と思えるきっかけになるかもしれません。
リラックスできる治療空間をつくろう
診療室の色合いや音楽、香りなども、患者さんの気持ちに影響します。落ち着いたインテリアやヒーリング音楽、アロマの香りは、不安をやわらげてくれる強い味方です。
とくに、歯科恐怖症の患者さんにはこうした“見えないケア”が大きな助けになります。
“あなたに話せてよかった”と思ってもらえる存在へ
患者さん一人ひとりの声に耳を傾け、その方に合ったペースで治療を進めること。
それが「患者さん中心のアプローチ」です。
ときにはユーモアを交えたり、気軽に話せる空気をつくったり、ちょっとした工夫が「また来たい」と思える歯科体験につながります。
まとめ
信頼関係が、すべての基本です。今歯科治療における“心のケア”は、私たち歯科衛生士が担える大きな役割のひとつです。ちょっとした声かけ、表情、タイミングの取り方…。その積み重ねが、患者さんの安心につながります。この人なら大丈夫」と思ってもらえるように、心理学の知識と優しさを持って、毎日の診療に取り組んでいきましょう。